ナンパ男がしつこい件について
結局、あたしの誕生日にケーキを食べに行くことになった。
ケーキというか、ディナーというか。
ディナーなんかにできてしまう椋太郎はやっぱり大人に感じる。
学生にはまず不可能なことであり、それは夢でもあるような気がした。
服に悩んだりメイクはどれくらいしていけばいいのかとかわからないことだらけだったので
取り敢えずお母さんに聞いてみた。
そうすると想像以上に細かく教えてくれて、まったく言われた通りな格好にする。
「これでいい…のかな」
髪の毛を巻いて、最終確認をする。
インターホンの音にこれだけ肩がはねたのは初めてのことだった。
階段を下りていって扉を開けると、
椋太郎はいつもと違うあたしに驚いてるようで、
「…本気出すと大人に見える」
という言葉には足をヒールで踏んじゃったけど。