ナンパ男がしつこい件について
「じゃあすぐじゃん、大切にしとけ」
そう言いながらハンドルを切った。
「うん」
外は街の光でキラキラ輝いている。
「唯花ちょっとさ…」
椋太郎が話しかけてきたので振り替える。
「ん?」
椋太郎はあたしを見たまま固まった。
「なんかあった?」
「いや…なんでもない。そこの携帯取って?」
あたしのすぐそばにあった椋太郎の携帯を渡した。
奴の顔が少し赤いのがわかった。
「顔、赤いけど…」
「気のせい気のせい」
そう言われて不思議に思いながらも頷いた。
「お、着いた」
今までで一番かわいらしい感じの店だった。
ここ、前雑誌で紹介されてた気がする。
扉を開けると、可愛い制服を着た店員さん達が「いらっしゃいませ!」
なんて元気な声で言う。
「予約してた郁村です」
「お待ちしていました!こちらへどうぞ」