ナンパ男がしつこい件について
キスをしながらどんどん後退していく。
……………苦しい。
それから
怖い。
そう思うと、唇が離れた。
その場に立ち尽くす。
「ケーキ、食べよ」
肩で息をしながら言う。
「…………」
椋太郎は頷くだけ頷く。
やってしまった、そんな顔をしていて。
「怖かった?」
「……ちょっとだけ」
ほんとに少しだけ、怖かった。
男の人の力の強さや荒々しさは苦手で、
「ごめんな」
椋太郎はそう言った。
「いいんだよ、気にしないで」