ナンパ男がしつこい件について




まだ静かだった。



変わったことと言えばお母さんが起きてることくらい。



三人の視線が椋太郎へと向いていた。




「…俺の携帯、返して」



片桐の彼女の元へと行ってそう言った。




「ごめん」



彼女は椋太郎に携帯を返す。



「唯花になんもしてない?」



いつもより低い声で言う。




「ごめん、つかみかかった。殺してやるとか言っちゃった」




誰もがその言葉に固まる。




「…………唯花はそんなこと言われるようなしたの?」



あくまで静かに、威圧的に言う椋太郎。




彼女は首を振った。




椋太郎は、片桐の方を向いて








一発殴った。



あたしはその様子にただ目を開くことしかできなかった。





< 282 / 468 >

この作品をシェア

pagetop