ナンパ男がしつこい件について
お母さんのことを見れなかった。
「大体お前だって何頑張ってるの?お母さんのことで必死じゃん、そんなに愛されたいの?」
その言葉は、全部図星だった。
「当たり前じゃんか。面倒見ることくらいしないと、こっち振り向いて貰えないんだもん」
「かわいそ。巧さんのとこに行ってたらちゃんと大切にされてただろうね」
…そんな訳ない。
「巧に言われたんだよ全部。中学の入学式の後に。『お前は偶然産まれたんだ』って」
それまでは巧のところにいた。
「巧さんが…?」
限界だった。
「話をそらすな。今はあんたの話してるの」
「………優雅は優しくしてくれただけだよ」
後ろでお母さんの声が聞こえた。
「彼女さんごめんね?勘違いさせるようなこと」
彼女は何を言っていいか困っていた。
あたしみたいには行かない。
年上の女の人に言えるほど図太い神経はないらしい。
「これからは絶対に店以外で会わないで。約束して」
二人は頷く。
「それから優雅はこの子に謝って。かっとなりすぎ」
片桐優雅は固まる。
「優雅は何を必死になってるの?」
「………生意気じゃねえか、こいつ。」
生意気ですいませんねえ。