ナンパ男がしつこい件について
「でも、全部合ってたよ。言ってること。散々そんなこと言われてきたし、もう気にしてないから」
これは本当のことだった。
小学校の時から『かわいそうな子』だった。
もういい。
そんなの、もういらない。
「…………違うだろ」
片桐優雅が呟く。
「否定しろよ、アホ」
お母さんの方をチラッと見た。
「お騒がせしました」
二人で一礼して去っていった。
片桐優雅は浮気性なのは見ていてわかった。
巧が最初に片桐優雅に5万で頼んでたらと思うと少し怖かった。
お母さんが「トイレ行ってくる」
そう言ってリビングから出ていった。
あたしはヘナヘナと座り込む。
椋太郎があたしの後ろに座ったのがわかった。
そして、良い香りに包まれて後ろから抱き締められた。