ナンパ男がしつこい件について
「ほっぺたプニプニだ」
あたしの頬を指でつついたり、両手で伸ばしたり、色々遊んでくる。
「…ふっ」
そして、唐突に笑った。
「あたしはおもちゃじゃないぞ、椋太郎」
「それはわかってる、わかってるけどさ…!」
あたしの肩を持って一人で爆笑してる。
「やばい、その顔やばい」
自分でやっといてそんな笑うな
と笑顔をひきつらせつつ、椋太郎が笑ってる姿を見た。
椋太郎が笑ってるのは…なんていうか安心する。
胸の奥がじんわりと暖かくなっていく。
安心したと同時に一気に『好き』って気持ちが溢れだした。
…こんなのあたしらしくない。
でも、別に関係ない。
自分は自分の思った通りにやればいい。
それが本当のあたしらしさ、だ。
「ていうかいつまで笑ってるの!!」
頭を叩いた。