ナンパ男がしつこい件について
「えー唯花ちゃん可愛い」
片桐優雅の声が後ろから聞こえる。
「黙れ」
と返すと「おー怖」と言われた。
「今めっちゃキスしたいわ」
「あんたも黙ろう、変態」
椋太郎はサングラス越しに目を合わせてきた。
「唯花、俺に変態しか言わないじゃん?照れ隠し?」
「変態って思ったときに変態って言ってるだけだから」
肩に乗ってる椋太郎の腕をどかそうとしても無理だった。
「他のお客さん来るからさっさと空いてる席行ってよ」
「えー…このまま二人になれるところ探そうと思ったのに」
学校にそんなところあるはずない。
「ないない、そんなところ。いいから向こう行け」
しっしっ、と追い払って教室に入らせる。
そのタイミングで「あ」と聞こえた。
その声はあたしのクラスの子と話していたホスト好きの友達。
…しまった。