ナンパ男がしつこい件について
「ホストやってたときの俺の写真見たの?」
目をそらしつつ頷いた。
「インタビューも?」
静かに頷く。
椋太郎は一回ため息をつく。
何かを言おうとした時、
「他の客の迷惑!さっさと座れ!」
華和が怒って、そう叫んだ。
「ごめん」
優雅が座っている席の向かいに座った。
「隣、いいですか?」
言ったのは友達だった。
「…なんで」
椋太郎はふてくされたように聞いた。
「だってこんなこともうないだろうし…椋さんなんてもう辞めちゃったから聞きたいこと一杯あるし」
…やめてよ。
不覚にもそう思った。
椋太郎はもう椋じゃないし、そんなに近づいて聞く必要なんてないじゃん。
それでも話している二人を無理矢理止めるなんてらしくない。
…友達だって、大好きだもんね。