ナンパ男がしつこい件について
椋太郎はクスッと笑った。
…息が、息が続かない。
「…ギブ、椋太郎」
そういうとすぐに離れてくれた。
肩で息をする。
「大丈夫?」
「大丈夫な訳ないだろ」
椋太郎にもたれ掛かった。
椋太郎はよしよし、と髪の毛を撫でてくれる。
「…椋太郎もドキドキしてるじゃんか」
「そりゃあ、こんな格好してる大好きな唯花ちゃんといたらときドキドキするに決まってるじゃん」
心臓の音がはやい。
「他のクラス回る?」
「うん、回る!」
「まあでも着替えてきて」
えー…。
「なんで?」
「頼むから着替えてから回ろ」
椋太郎は困ったような顔をして頭に手を乗せてきた。