ナンパ男がしつこい件について



どう思った…



「無愛想なホストだなって。ホストの癖に」



その言葉が意外だったのか椋太郎は黙りこむ。




「あとかっこいいとも思った」




それはあたしの本当の感想だった。




タイプどうこうもなしに、こいつはかっこいい。



「ホスト、なんだよ?」




椋太郎は改めてそんなことを言ってくる。




「ホスト"だった"」



その言葉を強調して返す。そういえば前も言ったような気がする。





「…違う?」




「俺は今椋だったときの俺を見て唯花が幻滅してないか心配してる」




そう言われてやっと気付いた。




『今』の椋太郎は関係なく、『昔』の椋うどうだったか…ってこと?




該当の眩しさに目を細めながら





「…嫌いだよ」



嫌われるかもしれないし、幻滅されるかもしれない。



でも、本心はこれだ。




「あたし椋太郎じゃなくて椋だったらおんなじこと起こっても好きになってない」




椋太郎はその言葉を必死で受け止めているようだった。




「…でも今いるのは椋太郎だから」




赤信号で車は止まる。





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