ナンパ男がしつこい件について
手でハンドルを握って前を見つめる椋太郎。
「でも椋太郎がホストやってないと出会ってなかったじゃん?だから結果オーライなんじゃないなって思う」
「…唯花らしいね、なんていうか」
あたしらしい、か。そうかもしれない。
「その考え方、俺大好き」
「それはどうも」
あたしは、少し気になってしまった。
今まで気にしていなかった、椋太郎の過去のこと。
でもその欲をぐっと抑えた。
車がゆっくりと走り出す。
「願いなにたしたの?」
さりげなく聞くと、
「そんなに気になるの?」
「え、まあそりゃあ…」