ナンパ男がしつこい件について
「唯花ちゃんが笑ってられますように」
奴は前を見ながらそう言った。
「じゃあ俺教えたから唯花の番ね」
「え」
そんなの聞いてないんですけど
…ってかはぐらかされた感半端ない
そんなことお願いしたなんて想像もしなかった。
「墓に持っていけるレベルで恥ずかしいことなんだから唯花も教えて」
「やだ」
ベタな願い事過ぎるし、恥ずかしい。
「耳まで赤いじゃん」
「前見て運転して!バカ」
はいはい、と言いながらクスクス笑ってる。
「ほら着いた」
椋太郎は家の脇に車を寄せて止めてくれた。
「今度またアリスの格好見せてね」
「絶対やだ。絶対椋太郎には見せない」
「おー怖い怖い」