ナンパ男がしつこい件について
『来るとき気を付けろよ?』
「はいはい、大丈夫だよ」
歌舞伎町に行くときの椋太郎の心配性はなぜか凄い。
『前も駅前でつかみかかられてんじゃん』
「物事の前後を言え、前後を。」
『…そろそろ寝なよ』
椋太郎はいつまでも電話を終わらせようとしないあたしに言った。
「………うん」
『明日頑張ってはやく帰ってくるからさ』
「わかった、おやすみ」
『おやすみ』
あたしは電話を切った。
「はぁ…」
天井をそっと見上げる。
「寝よ」
明日も学校あるし、椋太郎の家にも行くし。
時計を見ると1時間以上話してた。
そんなに話してるように思えなくて、少し驚きつつふとんに入る。
目を閉じるとすぐに意識は遠退いて行く。