ナンパ男がしつこい件について




次の日学校に帰ると椋太郎から貰った鍵を使ってマンションに入る。




「お邪魔します」



なぜか小声で言ってしまった。



椋太郎の部屋だ、間違いない。




静かなのは少し違和感があった。




椋太郎の部屋に初めて来たときにも座ったソファに深く座る。




机の上には雑誌が置いてあった。




表紙には『特集!塩顔男子』と大きな字で書いてある。




「…ふ」



手にとってペラペラとめくっていく。




あたしの好きな俳優が載っていた。



よく見たらそのページの左上が追ってあった。



何気にチェックしてるのにキュンと来る。




ガチャッという音がして扉が開いた。



目線を前に向かせると、想像してる人と違う人が視野に入る。



「…あ」



なぜか椋太郎ではなく、片桐優雅が立っていた。



「なんでお前いるんだよ」




めんどくさそうに頭を掻く。



「あんたこそなんでいるの」



「仕事の前に椋太郎の家で飯食おうと思ってさ」




仕事、ですか。





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