ナンパ男がしつこい件について
「前みたいに袖掴んで『好き』ってかわいく言いなよ」
そ、それは一番恥ずかしいエピソードじゃないか…
「やだ。そんな恥ずかしいこと言われたらもっと嫌になった」
「言って?」
…なんでそんなに強く。
「椋太郎がさ…「言って」
喋ることもさせてくれないのか!
一回息を吐いた。
「…………………………好き」
掠れるような小ささで呟く。
椋太郎の方を向くと、「俺も」と言って髪をくしゃくしゃに撫でた。
「もう絶対言わない!」
「そんなにポンポン言われても困るから、また
こうやって言わせる」
それは困るなあ…
「………あっそ」
「耳まで赤いな。熱っ」
耳たぶをぷにぷに触りながらそう言った。