ナンパ男がしつこい件について




車の中に入っても震えが止まらない手。




「手、そのままだと書けないよ?」



そう言ってあたしの手を取ったけど、



その手が冷たいから意味がない。




「冷たい」



鼻をすすりつつ言うと椋太郎が「そっか」




と笑いながら言う。




「さあ、行こう」




椋太郎は車を進める。



緊張がものすごい、何これ。




取り敢えず落ち着きたくて、まとめノートに目を通す。




「死ぬほど勉強してたじゃん。」




「今死んでないから死ぬほどは勉強してない」




突っ込みは相変わらず冴えてる。




「思ってるより大丈夫だな」



そう言ってハンドルを切った。




「そんなことない…!」




「はいはい」



適当に答えやがって…!




「適当に答えるな!」




「じゃあどうやって答えるんだよ」




冷静に返してくる。



うざい…!!!!







< 375 / 468 >

この作品をシェア

pagetop