ナンパ男がしつこい件について
車の中に入っても震えが止まらない手。
「手、そのままだと書けないよ?」
そう言ってあたしの手を取ったけど、
その手が冷たいから意味がない。
「冷たい」
鼻をすすりつつ言うと椋太郎が「そっか」
と笑いながら言う。
「さあ、行こう」
椋太郎は車を進める。
緊張がものすごい、何これ。
取り敢えず落ち着きたくて、まとめノートに目を通す。
「死ぬほど勉強してたじゃん。」
「今死んでないから死ぬほどは勉強してない」
突っ込みは相変わらず冴えてる。
「思ってるより大丈夫だな」
そう言ってハンドルを切った。
「そんなことない…!」
「はいはい」
適当に答えやがって…!
「適当に答えるな!」
「じゃあどうやって答えるんだよ」
冷静に返してくる。
うざい…!!!!