ナンパ男がしつこい件について





「唯花ーー来てくれると思ったーー」




「家に送ってくだけだから」




もー、ツンデレーなんて聞こえたけれど知らない。





「娘さんですか?」




後ろから声が聞こえて振り向くとおっさんのお巡りさん。






「はい、母が毎回毎回迷惑をかけて本当にすいません」




「娘さんしっかりしていますね。お母さんもしっかりしてくださいよ?」




というと酔いが覚めてないのか、




「ふぁーい」



なんて小学生みたいな答えをする。





「……本当にすいませんでした」



お母さんの片腕を肩にかけて無理やり引っ張っていく。





歌舞伎町のホストのお客として完全に溶け込む格好のこいつは異常に重い。





「あーーーあの店もうあいてる、あの店だけいっていいーー??」




「だめ」




きっぱり答えると「ケチ」なんて言われる。





高いブランドバッグの中を見ると大量の名刺。





少し前に貰ったのと同類のものばかりで、不快になる。






「ねぇーーーちょっとだけあそこの店のシャンパンだけ頼ませてよおーーー」




もはや無視。




お母さんのマンション部屋……



というか本当はあたしも住んでた家はかなりお高め。





お母さんもあまりにもマンションにいないから綺麗になってる。







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