ナンパ男がしつこい件について
その日は椋太郎がはやく仕事が終わったらしくて一緒に帰れた。
いつもの駅で待つ、椋太郎。
あたしが駅から見えるところに来るとすぐに気がつく、椋太郎。
「お疲れ」
「お疲れ様」
椋太郎があたしの頭を優しく撫でる。
「どうかした?」
「いや、かわいいなって」
それ、口癖かなんかですか?
呆れたように思いながら、手を繋ぐ。
「唯花ちゃん普通に俺の手、繋ぐようになったね」
「だから何」
「前は手、叩かれた記憶あるから」
いつの話をしてるんだ!
「あ、そうだ。巧さんのとこいつ行く?」
「んー…来週くらい?」
意外とすぐ行くんだね、とか言った椋太郎。