ナンパ男がしつこい件について
「俺と、離れたらどうなる?」
「何それ急に」
留学するか?って聞かれた時、想像もつかなかった。
頭が真っ白な常態でとにかくNoと断った。
今、冷静になって。
椋太郎と離れたら?
「………椋太郎が好き、って思ってくれるなら大丈夫」
手を強く握る。
「そっか、ありがと」
少しだけ変な空気になった。
「…駅ついちゃった」
電車のドアが開く。
「じゃあね」
「バイバイ」
椋太郎はもう一度だけこっちを向いて手を振ると、
背中を向けて乗り換えのために階段を上がっていった。