ナンパ男がしつこい件について
「おはよう、華和」
「おはよ」
華和はちゃんと包みに入れてチョコを渡してくれた。
「毎年毎年、クオリティー高いよね」
「あんたは毎年毎年、学校までに食べちゃうのね」
クスッと笑った。
「美味しいから、我慢できないんだよね」
ふと、駅を振り返った。
そこはいつもと何にも代わりのない駅。
3年間、全然変わらない駅。
前を向いた。
「唯花?」
「何でもないよ?」
その言葉を自分でも言うのが多くなったことは知ってる。
華和はそのたびによくわからない笑みを見せてくれた。