ナンパ男がしつこい件について
「どうしたの?」
「別れなよ、郁村椋太郎と」
その言葉は…ずしりと重かった。
「なん、で…?」
「…あんた毎日苦しんでるの、知ってるよ?」
「あたしはそれでいい…」
「一生苦しむことになるよ?」
即座にそう返された。
その言葉が何を言いたいか。
『椋太郎とはもう一生会えない』
そう言うことなのは、わかる。
「あいつは…あんたを何回泣かせてるの?」
「でも…まだ…」
「椋太郎はもう来ない」
はっきりと、現実を叩きつけられた。
「夢見てちゃだめ。郁村はあんたのことを思って消えた」
夢を見てる…言われてみればそうだ。
「うん」
華和には勝てない。だから頷くだけにした。