ナンパ男がしつこい件について




「よいっしょ…」



雪が積もるなか、あたしは屋上へと上った。



「さむ…!」




小さな雪だるまを作りたかった。



…っていうのは言い訳で、




「えいっ」




昨日かいた椋太郎への手紙を、飛行機にして飛ばす。




風の強い今日は…手を離すだけでどこかへ行った。



そして、椋太郎に電話をかける。





『おかけになった電話番号は現在、圏外にいるか電源が切られています』




もう、この声を何回聞いただろう。




あたしは、「別れよう」そうメッセージに残して、




さよならしようと思った。





ピー、という電子音が鳴る。




「椋太郎、久しぶりだね。唯花だよ。



今日はねどうしても伝えたいことがあったんだ。



どうか届きますように」




そして、一呼吸おいて、



口を開く。






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