ナンパ男がしつこい件について
「卒業生、入場」
厳粛な空気の中、あたしたちが胸をはって後輩を通りすぎていく。
静かに、パイプイスに座っていった。
あたしたちを叱っていた校長先生が祝辞を述べる。
「みなさんは…うるさいです。うるさすぎます。この学年を初めて見たとき、正直ダメだと思いました。…でも違った。みなさん一人一人を私は誇りながら送り出せます」
偉い人たちの挨拶は、なんだかよくわからなかったけど、この言葉だけは頭の中に残った。
文化祭の材料費で生徒会と戦った。
体育祭のちょっとした反則で審判に言いに行ったりした。
クラス集合写真で変顔して怒られた。
めちゃくちゃな、でも楽しい思い出ばかりだ。
「三年生、別れの歌」
三年生がガタッと立つ。
「○○学校○期生三年!」
「「「最高ー!!!」」」
そう叫んで、始まったピアノ。
泣いてるとは思えないほど、ぴったりそろった合唱。
そのぴったりさにあたしは泣いた。