ナンパ男がしつこい件について
気持ちいい…
泣いて腫れた目に調度良かった。
そして、椋太郎はあたしを抱き締める。
「ねえ、椋太郎…」
「ん?」
「名前、呼んで?」
隣で呑気に鳴いている、すずめの声が聞こえる。
風で木の葉が揺れてサアア、という音を出す。
「…唯花」
「もう一回」
「唯花」
「もう一回だけ!」
「唯花…」
嬉しそうにあたしの名前を呼ぶ。
「会いたかった…」
頬にすりすりと合わせてくる。
「唯花がバレンタインの日、『待ってるよ』って送ってくれたじゃん?」
「うん」
「あれがなかったら、俺本当に消えてたかも」