ナンパ男がしつこい件について
「走るよ」
そう言った彼の笑顔は、
始めてあたしの心を揺さぶった。
後ろを向くと、数人のスーツ姿の人が追いかけてきてる。
「なんで!?」
「俺から唯花取って巧(コウ)さんに渡せばもっと金が入るからでしょ」
巧さん。間違いなくお父さんの名前だ。
もう走るのは朝で疲れてるのに。
「椋ー!!!待て!!!」
「うるせーよ!!惚れたんだよバーカ!!!!」
……………
!?
「ナンパ男今なんて…」
「黙って走る!!」
お、おう…
後ろを振り向くとさっきよりも追いかけてきてる人が増えてる。
「ほんっとあいつら金に貪欲だなあ」
ナンパ男は笑いながら言った。