ナンパ男がしつこい件について
惚れたとか、タイプとかそういうのを冗談で言ってるのはわかってる。
女の子に優しくする癖だってついてるんだろう。
それでも、心臓はドキドキしている。
「………」
でも、この時間が終わったら、
もう会うことなんてないのか。
「なんか飯ない?」
「ない……と思う」
立ち上がって冷蔵庫へ向かう。
「ほんっとに空っぽ」
そりゃあここに入れる意味はないから。
「ていうかこれ冷蔵庫死んでね?」
「まあ、あたしもよくわかんない。三ヶ月前からここ来てないし」
「コンビニ行ってくるかー」
ここで仕事…してたから詳しいのね。
「そんなにおなかすいたの?」
「朝から食べてないんだよね」
え。なんで。
「今の仕事、長引いちゃってさ。やっと家帰れると思ったら酔っ払い引っ張ってる女子高生いるし、あんただし」