甘い悪魔。
気づけばあたしはベッドから降りて、帰る準備をしていた。
「…行くの?柳先生のとこ」
かすみんはベッドに腰掛けたまま脚を組んだ。
あたしは頷く代わりに、かすみんを見てふっと笑った。
それを見たかすみんは親指を立てて、あたしに示した。
自分の本当の気持ちに気付いてから思ってたんだ。
看病しに、怒りに行くんじゃない。
本当の気持ちを伝えに行くんだ。
でもね?
本当はただ…
ただ和穂に会いたいの。
会って顔を見たい、それだけなの。
あたしは保健室を出て、和穂の家に向かった。