甘い悪魔。




中指の指先にちゅっと口付けをすると、和穂の唇は離れて閉じていた目は、あたしを見つめた。




「…また自分のせいとか考えてただろ」




まっすぐにあたしの心を読んでいるかのように見つめる和穂。




何でこう、簡単にあたしの考えてること分かっちゃうかなー。




あたしってそんなに表情に出やすいのかな?




そんなに態度が顔に出やすいとは思わないけど。




すると和穂はあたしの腕を引っ張って、あたしをギュっと抱き締めた。




「…か、かず…ほ?」




何だろう、いつもの和穂とは違う気がする。




何だか優しい。
いつもは無理やりに強引に抱き締めたりするのに。




今日の和穂は優しくきゅっと抱き締めてくる。




まるで割れ物を丁寧に扱うみたいに。




それに違和感があってつい、名前を呼んでしまった。




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