甘い悪魔。
「…今はこうしてたい気分なんだよ」
「…っ!」
気にせずにお粥作ってろ。
言葉が出なかった。
だって誰もあのクソ悪魔である和穂が、こんな甘えた感じの声を出すなんて思わない。
でも無理やりな感じが相変わらずの俺様悪魔って感じ。
…ってか気にせずに続けろって無理だよ!
気にしないでいられる方がすごいよ。
胸の高鳴りが和穂に聞こえてそうで怖い。
あたしは顔が赤いのはお粥を作ってるせいだと自分に言い聞かせ、お粥を作った。
作ったお粥はシンプルだけど美味しい、たまご粥。
熱い鍋をテーブルに置くと、後ろからついてきた和穂は黒いソファーにドカッと勢いよく座った。
熱があったのにお風呂に入って大丈夫だったのかと思うけど、どうやら昨日よりは顔が赤くない。
昨日あれから寝ちゃったけど、薬飲んだのかな。
なんて思いながらお椀とスプーンを持ってくる。
「…はい、これで食べて。
あんたが食べてる間、シャワー借りるから」
なんせ昨日汗べっとりの悪魔と密着して寝てたんだ。
私にまでこいつの汗の匂いがこびりついてしまった。
正直、こいつよりも先にシャワーを浴びたかった。