甘い悪魔。
「…さっさと次の授業に行った…ら…」
言葉が続かない、そう思った時だった。
コツン
一瞬何が起こったのか分からなかった。
でもこの匂いはケバいおばさん達が付けてる甘ったるい香水じゃなくて、柑橘系のすっきりとした匂い。
意識が朦朧とする中、あたしはクソ悪魔に引き寄せられていた。
後頭部を持たれ、頭を悪魔の硬い胸板に付けさせられてる状態。
クソ悪魔の心臓の鼓動が聞こえる。
それがあたしを眠らせようとしてるみたい。
「…眠いなら、寝てろ。無理して起きてんな」
口悪な俺様悪魔のくせにあたしに優しくしてするなんて…ほんとにクソ悪魔。
あたしにはそんな優しさ…いらない…って…
あたしは耐え難い眠気に負けて、そのまま意識を手放した。