甘い悪魔。
和穂の手が優しくあたしの頬を撫でる。
その行為だけでもピクッと反応してしまう。
それを見た和穂はニヤリと笑って、あたしから離れた。
「…今日はここまでだ。しっかり勉強しとけよ」
ポンとあたしの頭に手を軽く置いて、和穂は去って行った。
どうしよう、心臓がうるさい。
鎮まって欲しいのになかなか鎮まってくれない。
何、結局あの悪魔は何であんなことしたわけ?
あたしはただ胸の前で手を握っていることしかできなかった。