[B L]だからスキって言ったのに
興味ない音楽が、耳元を流れる。
なるべく大音量で。
周りの音が、聞こえないくらい。
そうして俺は、ベットに寝転がった。
壁を向いて、天野のベットに背を向ける。
───────…寝よう。
そう思っているのに、眠れなかった。
(仕方ない。勉強でもするか。)
俺の頭は、良いわけではないが悪いわけでもない。
つまり、中途半端。
天野は多分、今でも頭がいいはずだ。
俺なんかとは、月とすっぽん。
だから、さっさと忘れろ、俺。
そんな心のつぶやきを、何回繰り返しただろうか。
急に、耳元で流れていた音楽が遠ざかり、耳が軽くなった。
「…おい。聞こえてんのか。」
「う、わっ!!」
耳元で、音楽の代わりに天野の声がした。
いつ入ってきたのか、全く分からない。
このヘッドホンは、結構使えるな。
「…なに。」
驚いたばかりだというのに、平常心を装う。
「だから、さっきから聞いてんだろ?」
「なにを?」
「なに聞いてるかだよ!!」
「そんなのなんだっていいだろ。」
俺自身、なに聞いてんのかわかんないんだから。
天野は俺の言葉を無視して、さっきまで俺がつけていたヘッドホンを天野の耳に当てた。
「あ!これオレが好きな奴じゃん!夏音もこれスキなの!?」
なにコーフンしてんだよ。
俺は音楽には興味ないって。
「あぁ、別に…」
何で言えねーんだよ。
この、意気地なし。