[B L]だからスキって言ったのに
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重い瞼を、ゆっくりとあけた。
「…あ、れ?」
なんだか、体が重い。
でも、なんで俺ベッドに寝てんだ?
「…ッ夏音…起きたか。」
天野が、申し訳無さそうな顔をして、ベッドの横に立っていた。
「天野…?おれ…」
「風邪、だってよ。」
風邪…。
はは、めったにひかなかったのに…。
「あ、その…夏音。…悪かった。」
急に天野は謝ってきた。
「は…?なにが。」
俺がいうと、天野は驚いた。
「…そういや俺、なにしてた…?
えっと、弓道やってたとこまでは覚えてて…」
「そっから、先は…?」
天野が、不安そうに訪ねてきた。
「意識が朦朧として…あんまり、覚えてね。」
「そ、か…。」
天野は、ホッとしたような、残念なような、複雑な顔をした。
それにしても、風邪なんて何年ぶりだ。
相当天野のことで考え込んでたんだな、俺。
「はは、自分が馬鹿みてぇ…」
天野には加藤センパイがいるのに。
それでも天野を想い、それをとめられない自分。
セフレでも、加藤センパイが羨ましい。
「夏音…?」
天野にそう呼んでもらえることが、どれだけ幸せか。
今更、気付いたよ。
「天野…俺な?
やっぱ、杏里好きだわ…。」
なんか、昔のおまえにそっくりなんだよ。
杏里の言動が、すべておまえにつながるんだよ。
だから俺、やっぱりおまえのことが好きなんだな。
そんな言葉たちは、俺の意識の中で呟かれて消えた。