キミがすき【気まぐれ更新】
また化粧を再開するフリをしたアタシを確認し、オヤジが男の子のポケットから少し出ていった財布を抜き取った。
はぁ?
ありえない!!
あんな偉そうにアタシたち子供に説教をしそうなヤツが人の物盗むとか…
なんかムカつく。
アタシみたいなのをバカにするのは、決まってあんなバカだ。
だから余計にムカついた。
アタシは鏡を閉じ、ポーチをカバンにしまいオヤジに向かって歩き出した。
アタシみたいなギャルがスリを何とも思わないと思っているのか、オヤジは近づくアタシに気づかず、そのまま立ち去ろうとする。
バーカ、だれが逃がすかよっ!!
つ〜か、この麗菜サマから逃げられるわけないし!!
正義感だけは人一倍強いアタシの前で、人の物を盗ったのが運の尽きだよっ!!
おじさんっ♪
「おい、てめぇ!!」
アタシはオヤジに向かっておもいっきりドスの効いた声で叫んだ。