キミがすき【気まぐれ更新】
振り向いたオヤジに詰め寄り、緩んだネクタイごと胸ぐらを掴んだ。
オヤジが焦った様子でアタシを見る。
完璧に目が泳いでるっつ〜の!!
バカじゃん。
そしてアタシはまだ続ける。
「てめぇまぢでふざけんなよ!!ちゃんと仕事してます。僕は真面目な人間です。みたいな顔して、朝から堂々人の物盗ってんのかよ!?どうせ、てめぇみて〜のが、うちらを1番バカにしてんだろ?アンタにうちらを怒る権利があるわけ?まだアタシの方が真面目だよ!!」
そして、ビビってるオヤジの胸ぐらを放し、脂肪の乗ったお腹に見事な蹴りをお見舞いした。
ドスン。
重たい鈍い音が車内に響き、オヤジが床に倒れた。
さっきまで、黙って座っていた男の子がやっと席を立ち、オヤジのそばまで歩いてきた。
う、わっ…
背高い…。
アタシの身長は162センチと標準より少し高いくらい。いったいこの人は何センチなのだろうか。
低めのよく通る声が車内に響いた。
「何アンタ、俺の財布取ったの?」
オヤジの肩がビクッとなり呟くように謝り、ちょうど着いた駅で電車を飛び出して行った。
はぁ?
何あれ、逃げるとかまじありえないし…。