キミがすき【気まぐれ更新】
逃げて行くオヤジから目を離し、男の子の方を見た。
そしたら、『めんどくせぇ』みたいな顔をしてオヤジを見ていた顔があまりにも可愛くて、思わず微笑んでしまった。
なんだかアタシは普通とは少しズレているのかもしれない。
どう見ても、男の子は可愛い系じゃなくてカッコいい系なのに、アタシにはとっても可愛く見えてしまう。
そんなことを考えていたら、自分の財布を拾いポケットにしまった男の子がこっちを見た。
見つめられた瞳はとても優しい目をしていて、アタシはそのまま目が離せなくなった。
それと同時にアタシの心臓が音を奏でた。
───ドクンッ
どんどん速くなる鼓動に焦り、勢いよく言葉を発した。
「てゆ〜か、お兄サンもボケってしすぎ!!あんなんじゃ、『どうぞご自由にお取りください』って言ってるようなもんだよ〜?アタシがいなかったら絶対に財布盗られてたよ。」
頬を少し膨らませながら男の子を見上げた。
「そうだね、ありがとう」
そう言って優しく微笑みかけてくれた彼の笑顔が素敵で、更に心臓の音が加速し、顔がほってってきたのがわかる。
絶対この人、女の子に人気あるよ。うん。
そして、あることに気がついた。
男の子の笑い方が誰かに凄く似ている…
誰だかは思い出せないけど、この優しい微笑みはいつも見ていた気がする。