キミがすき【気まぐれ更新】
「海斗ぉ〜」って言いたげな拓真の視線をかわし、明後日の方をむく。
だって担任はまだ拓真の方をチラチラと見ている。アイツは落ち着きがなくいつでもソワソワしているから担任の視線も自然と其方を向くのだ。
普段の行いが悪いから、ちょっとしたことで怒られるんだよ。アイツも早く気付けばいいのに…
まぁ、根は素直で聞き分けのいいヤツだから担任もちゃんと注意するんだ。
先生に怒られなくてラッキー、怒られて可哀想…って思っている生徒もたくさんいるが実際はそうでないのだ。
どんなことをしても怒られない生徒はアウト。もう見限られている、逆に怒られる生徒はセーフ。まだ先がある。
早くみんなも気付けばいい、コレだから頭の回らない生徒はどんどん落ちて行くのだ。
上手く立ち回ればいいのに、俺みたいに。
教師たちの前では大人しく意見に従う俺は評判がいい。だから生徒会書記も任された。
言われた時は正直「面倒くさい」って思ったけど、生徒会に入ると特典がついてくる。内申点が上がり、教師からの小言も減る。
他の生徒たちから見たらそんなこと?と思うかもしれない。だが俺は、それなりの大学に行って、それなりの学歴を手に入れ、それなりの会社に就職したい。
間違っても、レベルの低い会社だけには入りたくない。
あの人の二の舞を踏みたくはない。
だから面倒くさい生徒会にも入った。