キミがすき【気まぐれ更新】



「…いつ生れるの?」



「んー?二月。今、三ヶ月なんだって。」



空花は急に母親の顔になり、優しくお腹を撫でた。



あの空花がねぇ…



これが、母性愛ってヤツなのか。



「でも、三ヶ月って気付くの遅くない?」



「そーお?だいたい、こんなもんじゃない?アタシって元々、生理不順だからさー。」



まぁ、その辺はよくは知らないけど。空花がそう言うのなら、そうなのだろう。



一応空花も女で、しかもこれから母親になるのだから。



「で、何しに来たの?」



俺の部屋に。



「自分の家に帰るのに、理由なんかいるわけ?」



「いらないけどさ、今別に暮らしてんじゃん。」



「あー、アタシ結婚まで家に住むから。アパートも出てきたし。」



本当に唐突だと思う。この前店に行った時は、そういう事は何も言ってなかった。



つか、母ちゃんは知ってるのか?



「あ、リッコにはちゃんと言ったんだからね!!」



「聞いてねぇよ…」



「ま、そんな人でしょ。」と空花は言うが、普通そんな大事な事は話すだろ。



ちなみに、リッコと言うのは俺たち二人の母親で、本名は淕子(リクコ)という。



「お母さんなんて、お母さんみたいで嫌!!」と、俺達にリッコと呼ばせている。



お母さんみたいで嫌って…お母さんだろ。と突っ込みたくなる。



< 42 / 70 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop