キミがすき【気まぐれ更新】
「…いつ生れるの?」
「んー?二月。今、三ヶ月なんだって。」
空花は急に母親の顔になり、優しくお腹を撫でた。
あの空花がねぇ…
これが、母性愛ってヤツなのか。
「でも、三ヶ月って気付くの遅くない?」
「そーお?だいたい、こんなもんじゃない?アタシって元々、生理不順だからさー。」
まぁ、その辺はよくは知らないけど。空花がそう言うのなら、そうなのだろう。
一応空花も女で、しかもこれから母親になるのだから。
「で、何しに来たの?」
俺の部屋に。
「自分の家に帰るのに、理由なんかいるわけ?」
「いらないけどさ、今別に暮らしてんじゃん。」
「あー、アタシ結婚まで家に住むから。アパートも出てきたし。」
本当に唐突だと思う。この前店に行った時は、そういう事は何も言ってなかった。
つか、母ちゃんは知ってるのか?
「あ、リッコにはちゃんと言ったんだからね!!」
「聞いてねぇよ…」
「ま、そんな人でしょ。」と空花は言うが、普通そんな大事な事は話すだろ。
ちなみに、リッコと言うのは俺たち二人の母親で、本名は淕子(リクコ)という。
「お母さんなんて、お母さんみたいで嫌!!」と、俺達にリッコと呼ばせている。
お母さんみたいで嫌って…お母さんだろ。と突っ込みたくなる。