キミがすき【気まぐれ更新】
一気に怒鳴り、オヤジの胸ぐらを放してそいつのデップリとしたお腹を思いっきり蹴り飛ばした。
オヤジは何が起こったのか解らない様子で、重たい尻を床についた。
「…どーせ、アンタはリストラでもされて家族にも捨てられたってとこでしょ?」
そこまで来てやっと、俺の思考回路が動きだした。
「何?アンタ、俺の財布盗ったの?」
俺はオヤジのそばに行き、オヤジと同じ目線くらいになるように、膝を曲げた。属に言う、ヤンキー座りってヤツ?
いや、俺はヤンキーでも非行少年でもないんだけどね?この座り方が楽なんだよ、若者ってもんは。
オヤジの肩がビクッとなったのが分かった。
それは当然だろう。俺の身長は183センチもある。いくら座っていると言っても、目線を合わせていると言ってもこっちの方が十分に高いんだから。
こんなにがたいの良いヤツに見下ろされてビビらないヤツはいないだろう。
「す、すいませんでしたっ!!」
小さい声で謝り、開いたドアから逃げて行った。
逃げられたし…。
落ちていた財布を拾いポケットにしまった。
そして金髪頭の強烈ギャルの方を見た。
その時見た表情がさっきとは違い、穏やかであまりにも綺麗で…
強い意思を持ったような澄んだ瞳で見つめられて…
俺はその姿から目が離せなかった。