友を待つ猫来る
友を待つ
僕は、いつもの古い喫茶店で、友人を待っていた。
喫茶店のソファは、かつては赤かったのかも知れないが、色が落ちて今では所々に染みや煙草の焼け跡等残っている。
僕も友人の女性もそれが、気に入っていた。
珈琲が、とにかく旨いのだ。
それに僕らが会うにはここは、ふさわしくてしっくり来る場所だった。
ちょうど北海道の羆が、冬眠する時に探す穴はこういうしっくりした所なのかもと思う。
彼女は、北海道の出身でもあった為に羆の事を何かで、見たらしくそう表現して笑った事があった。
彼女は、三十代半ばで、夫も居て可愛い娘が二人居た。
一人は、小学五年で一人は、三年生だった。
僕らの関係に男女の間にある河のような何か流れて行く物が無かったかと言えばあったと思う。
しかし、僕らに肉体の関係は無くてそういう話しをジョークではしたが、いざ、そういう関係になる事は無かっただろうし、この先も無いだろうと思えた。
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