俺様王子とキケンな契約!?
それから一言も言葉を交わすことなくあたしのマンションまで送ってくれた零士くん。
帰り道ずっと繋がれてた左手。
その左手だけに神経が集中して
どうにかなっちゃいそうだ。
「……き、今日はありがと、う。楽しかった!プラネタリウム見れたし零士くんの嬉しそうな笑顔も…見れたし!」
下を向いてそう言うと、零士くんに両頬を優しく包まれ上を向かせられた。
「……へっ?」
零士くんをまじまじ見つめていると
頭にふんわり手の感触がした。
「俺も…楽しかった。ありがと」
少し照れたその横顔にあたしの胸がキュンっと音を立てた。
名残惜しそうに離したその手は
あたしの頭にぬくもりだけを残した。
手を降って零士くんに背を向けて
エントランスホールに
入ろうとしたけど────
壁にもたれている男がいて、あたしの足はとまった。
……っ、何でいるの!?