俺様王子とキケンな契約!?
「なんだ…寝てるのか。」
そろそろ、夕食の準備に取り掛かろうとしたあたしは神矢くんを起こさないように頭を退けようとしたけど
また神矢くんは、あたしの手をギュッと握った。
「……芽衣、離れ…ん、な」
手を握る力がより一層強まる。
そのとき思ってしまった。
こんな無防備な神矢くんの寝顔を他の誰かが見るなんてことになったらあたしは多分、……嫌だ。
なんでか、そう思ってしまう。
あぁ、あれだ。
いつもは俺様でイジワルだからこんなギャップ見せられて心が揺さぶられているだけだ。
────そう、それだけ。
なんて、思いつつもあたしは神矢くんの手を握り返した。
何してるんだろ、こんなことして…
彼女でもなんでもない自分がこんなことして…
でも、どうしてかこの手を離すことなんて出来なかったんだ────。