俺様王子とキケンな契約!?




「これは芽衣ちゃんのおかげでもあるよ!芽衣ちゃんなら聖を変えてくれるって思ってたからさっ!ありがとな。」



ニコッと微笑む慶樹くん。

そんな笑顔を見てあたしも嬉しくなる。



嬉しくなるなるのに……



神矢くんに大切な人ができて喜ばなきゃいけないはずなのに。



どこか、ぽっかり穴が開いてしまったようで……



「……芽衣、ちゃん?どうした?何で泣いて……具合い悪い?」



慶樹にそう言われあたしは目元に手をやった。


ヤダっ、何泣いてるのあたし。



「あ、あ…大丈夫っ!大丈夫!!う、嬉し涙だよっ!……あ、あたしそろそろ行くね!」



あたしは涙を拭って、お店を出た。


誰にも見られたくないから。

こんな意味わからない涙。




どこに行きたいかなんて定まらないまま走っているとき、ドレスの裾を踏んでしまって前に転ける────!


そう思ったけど、


誰かが、優しく抱き留めてくれた。




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