俺様王子とキケンな契約!?
■初めての夜
【芽衣side】
“いいんじゃねぇの。諦めねぇで。 ”
“まだお前は気持ち伝えてねぇんだろ。”
どこか真剣そうに言う神矢くんに胸を打たれた。
また涙が溢れ出しそうだ。
「だから……泣いてんじゃねぇよ。」
そう、神矢くんはまるで壊れ物を扱うようにあたしの涙をそっと拭った。
だけど…そんなことされたらまた涙が溢れる。
「うっ、神矢く、んっ…」
「おまっ、何また泣いてんだよ。ったく……」
やれやれといった表情の神矢くんだったけど、あたしが泣き止むまで背中をさすってくれた。
「あ、ありがと……ごめんね。迷惑かけちゃって……」
それから、一応泣き止んだあたしは神矢くんに向き直った。
「お前の迷惑なんて今に始まったもんじゃねぇだろ。そんな気にすんな。」
……あれ?
慰められてるの?貶されてるの?
まあ、今のあたしにとってはそんなことはどうでもいい。