俺様王子とキケンな契約!?
香純は昔と変わらない綺麗な黒い髪を靡かせオレに近づいて来た。
「ちゃんと、話がしたいの。」
香純を無視して行こうとするけど、腕を掴まれた。
小さく細い手はしっかりとオレの腕を掴んでいる。
「もう、元に戻れないの?……またあの頃みたいに三人仲良くしたいの。」
あの頃みたいにもう戻れるかよ。
「もう戻れない。」
一度白色に他の色を足してしまったら白に戻れないように、オレたちの関係はもう元には戻れない。
中学のときオレたち三人は仲がよかった。
一つ上の先輩、香純はまさに憧れでいつしか好きになって付き合うようになって。零士も祝福してくれていた。
だが、今と同様 オレの周りには他に女がたくさんいた。
そいつらとは一度も関係を持ったことがないが、こんな周りに女がいれば悪い噂が広がるのは当たり前だった。
それでも、香純と零士は信じてくれていた。
二人だけは信じてくれていると思っていたのに。
その後、オレが見た光景は零士と香純がキスをしているところで。
何かの間違いだろうとオレは二人を信じていたのに────
『ごめん、聖。あたし零士が好きなの。』
突きつけられたのはそんな言葉だった。