俺様王子とキケンな契約!?
入ってきたのは、神矢くん。
でも、何だかいつもと様子が違う。
「……遅かったね、心配したんだよ……」
神矢くんは俯いたままあたしを通り過ぎて自分の部屋に入ろうとする。
どこか様子がおかしい神矢くんの腕をあたしは咄嗟に掴んだ。
「どうしたの…なんか変────」
「────触んな」
神矢くんはあたしの手を振り払ったそのとき、顔がちゃんとはっきり見えた。
「……どうしたの…その傷」
口が切れて血が出ていた。
左頬も何だか赤いし、転けたように服が汚れている。
でも、ただ転けただけじゃこんな風にならないよね……
「ねぇ、どうしたの。何かあったの…?」
「……何もねぇよ。」
そう、また部屋に入ろうとする神矢くんの腕をあたしはしっかり掴んだ。
「ちゃんと手当したほうがいい。こっち来て。」
そして、あたしは神矢くんをソファーに座らせた。