俺様王子とキケンな契約!?
いつかのあの日みたいに。
あの夏祭りの日、手当をしてくれたようにあたしも神矢くんに手当をした。
そして、あたしは濡れたタオルを神矢くんの切れた口元にそっと当てた。
すると、神矢くんはパッとあたしの手を振り払った。
「お前さ、分かってんの。」
「……え?何が……」
どこか鋭い目であたしを見つめる神矢くんに目を背けられない。
「目の前にいるのが男だって、分かってんの。」
神矢くんの瞳はあたしを捉えて離さない。
「何言って……」
「無防備だって、分からねぇの?」
「……急にどうしちゃったの。」
何だか嫌だ。
この空気がとてつもなく嫌だ。
あたしは雰囲気を変えるため違う話をした。
「ご、ごめんね。零士くんと付き合うこと言わななくて。……だから今日怒ってたんだよね?あんなに応援してくれてたのに神矢くんには最初に言わなきゃいけなかったよね……」
俯きながらそう言うと、神矢くんは嘲笑うかのように言った。