俺様王子とキケンな契約!?
「……零士ならお前のこと大切にしてくれる。…だって、お前の白馬の王子様だろ?」
神矢くんはふっと微笑んであたしの頭を撫でた。
「……じゃあな。」
そう、言い残した神矢くんは部屋から出て行ってしまった。
シーン、と静まり返った部屋。
もうここにはあたし一人しかいない。
「何が忘れろよ……」
今更、全部忘れられるわけないじゃない。
そんなの都合よすぎるよ。
神矢くんと過ごした全部、嫌だったことも楽しかったこともあたしにとっては大切な思い出だったのに。
目に涙がじんわりと滲んでくる。
「どうせなら……もっと傷付けてよ…っ」
その手で、めちゃくちゃにしてよ…
立ち上がれないくらいボロボロにしてよ…
だったら嫌いになれたのに。
だったらこんな風に苦しんだりしなくて済んだのに。
「酷いよ……っ、」
優しさなんて知らなければよかった。
あなたの全て、何もかも。
あたしたちは間違っていたのかもしれない。
軽い気持ちで同居なんて決めていいもんじゃなかった。
“あの日”のことが偶然でなく運命なら
神様は残酷すぎるよ────。