俺様王子とキケンな契約!?
■こんなにも好きだった。
【芽衣side】
雨のせいで身体はすっかり冷えてしまっているのに、あなたを抱きしめていたこの腕だけはまだ熱い。
言わなければよかった。
雨が降り続く中、あたしからどんどん遠ざかって行く神矢くんの後ろ姿を見つめる。
好きだなんて、言わなければよかった。
後悔しないって決めてたのに。
応えがどうであろう、これで最後にしようと思ってたのに。
どうしようもなく、この胸が痛くて張り裂けそうで。
『じゃあ、惚れさしてやるよ。』
いつか神矢くんがあたしに言った言葉。
好きになる予定なんてなかった。
好きになるわけなかったのに。
この胸の痛みに、本当に好きになってしまったんだと今実感する。